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2023.08.31|

〈PARTS REVIEW〉ヴァルタンステンレス1.3i用センターマフラー

ドレスアップとしても代替パーツとしても、マフラー交換時における選択肢の筆頭となっているのが「ヴァルタンマフラー」。
このマフラーが高い支持を受ける理由は、確かなパフォーマンスアップにある。

 

 

 

ミニのオリジナルパーツを作り続けているJMSAが、自社ブランド「ヴァルタン」を冠したマフラーの開発をスタートさせたのは1999年のこと。そのきっかけとなったのは、雪国では凍結した雪の固まりが路面の中央部に残るため、センターマフラーだと干渉してしまうという声だった。そこで、雪国でも装着できるセンターマフラーであること、確実なパワーアップが望めること、車検対応であること、そしてドレスアップパーツとしても効果の高い見た目にも優れるマフラーであることを目標として開発がスタート。国産チューニングパーツメーカーとして日本を代表する企業である「HKS」とタッグを組み、ヴァルタンマフラーの開発は進められた。

 

 

▲確かな出力アップを実現しながら車検対応のセンター出しとしている。ロードクリアランスを確保するためタイコ部分をオフセットさせ、テールエンドのデザインや品質にまで拘った逸品で、音質・音量はジェントルなものだ。

 

 

技術者も納得のヴァルタンマフラー

 

まず素材。これは耐腐食性と美しい見た目、さらにはコストも重視してステンレスを選択。また雪国対策としては、ふたつの手法を実施した。ひとつ目はサブタイコとマフラーのエンドパイプをオフセット溶接とすることで、純正マフラーよりも15mm高いロードクリアランスを得ることに成功。ふたつ目は、雪の固まりなどがマフラーと接触することを考慮し、サブタイコとセンターパイプに強化ステーを装着。雪の固まりなどは最初にこの強化ステーに当たることで、サブタイコを保護することが可能となった。と同時に、軽量化と小石などが挟まるのを防ぐため、強化ステーは穴開きタイプとしている。

 

パワーアップと静粛性、そして車検対応というコンセプトは、HKSが持つ数多くのノウハウが投入された部分である。ふたつのタイコを持たせたことと高品質なグラスウールを投入したストレート構造にしたことで、優れた静粛性と高い排気効率という、相反する性能を高次元で融合することに成功した。その結果、車検に対応したマフラーでありながら、2馬力のアップと純正マフラーよりも55%の軽量化を達成。1年以上の開発期間と数十本にも及ぶ試作品を経て、ヴァルタンクオリティーのステンレスマフラーが完成したのだ。

 

アフターパーツとして魅力のあるマフラーであることはもちろん、純正の代替パーツとしての要望にも応えることに成功しているヴァルタンのステンレスマフラー。5万円(税抜き)を切る価格も魅力で、1・3のキャブクーパーからエアバッグモデルまで、幅広いミニに対応していることもこのマフラーの特徴だ。
ひととおりの講義を受けた後に、その真価を確かめるべく、実際に装着の前後でどのような変化を感じるのか、’97年式のメイフェアにノーマルとヴァルタンマフラーを交互に付け替えて試すことになった。

 

 

登りのワインディングで違いを実感

 

まずノーマルマフラーが着いた状態では、車重の重い’97年モデルながら実に軽快に走るというのが第一印象であった。その後、ヴァルタンのステンレスマフラーへと交換してもらい、再び出発。静かではあるが、明らかに純正とは異なるスポーティな音質の排気音が得られていることに、まず好印象を得た。

 

車検対応なため、音量自体は実に控えめだ。しかし、スポーティな音質が軽快な走りに拍車を掛けるので、ドライブ自体の楽しさが増す。出力面では2馬力のアップなので体感するには厳しい数値だが、抜け過ぎ感がないヴァルタンのステンレスセンターマフラーゆえに、むしろトルクが太くなった印象を受ける。それを如実に感じたのがワィンディングでの登りだ。純正マフラー装着時よりもグイグイと走り、ファントゥドライブが増したことは確かで、自然と笑みがこぼれる。
出力のアップや軽量化の達成、さらにはスポーティな音質の排気音などにより、確かなパフォーマンスアップが感じられたドライビングであった。

 

 

▲高速道路での100km/h巡航などでも排気音はよく抑えられており、疲労に繋がる激しい音質などは感じられない。走り方などにもよるが、純正マフラー装着時よりも燃費が向上するようだ。

 

 

▲大きな違いを感じた登りのワインディング。ヴァルタンマフラーはトルクフルな走りを示すと同時に、スポーティな排気音を奏でることも加わって、軽快さが増した走りを得られた。その結果、楽しく走ることができたのである

 

 

■クラシックミニマガジンvol.40(2016年11月)に掲載された情報に、加筆訂正して転載しています。

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