2023.08.31|Parts
〈PARTS REVIEW〉ヴァルタンスショックアブソーバー
JMSAがリリースするアイテムのなかでも、長い歴史を持つのがヴァルタンショックアブソーバーシリーズだ。
そのなかでも人気が高い「プレミアムタイプR」のインプレッションを紹介する。
ヴァルタンのショックアブソーバー“プレミアムタイプR”が好評を得ている。それ以前はベーシックなヴァルタンショックアブソーバー(白・8段調整式)と、よりスポーティな味付けのヴァルタンショックアブソーバータイプR(グレー・8段調整式)の2バリエーションであったが、プレミアムタイプRは14段調整となっていることが最大の特長で、幅広いユーザーから支持を得ている。
このプレミアムタイプRをJMSAと共同開発し製造を担っているのが、国内トップの油圧機器企業であるKYB株式会社。これまでのヴァルタンのショックアブソーバーはすべて同社が生産を担当しており、クラシックミニ用においても高い信頼と多くの実績を持っていることは言うまでもない。そんなKYBとJMSAの力作であるプレミアムタイプRは、従来のタイプRよりも減衰力の範囲が幅広い。
それは減衰力の高い範囲のみならず、小さい範囲にも及んでいる。調整次第で、しなやかな乗り味からダイレクトな印象を受ける範囲までカバーしており、それを14段階に分けている。つまり、決してサーキットユース限定というものではなく、クローズドコースから公道まで楽しめる仕様となっているのだ。
タイムアップに繋がる結果を得た!
実際にプレミアムタイプRを装着しているミニで走行した2組に感想を伺った。まずはミニ1000で筑波サーキットのスプリントレースを走ったT氏の印象。このミニはサーキット専用で、以前はヴァルタンのタイプRを装着しスプリングはコイルを使用していた。そのセッティングには大雑把な印象があったが、14段調整式のプレミアムタイプRは好みのセッティングを出しやすいとのこと。また、初期の動きが収まりにくい傾向にあるコイルスプリングを装着しているが、プレミアムタイプRを使用したほうがバタつきをよく抑えられているという印象を受け、乗り心地はマイルドな方向になったそうだ。結果としてタイムアップに繋がり、筑波サーキットでは1分13秒台の前半を記録するに至ったとのこと。
確証が取れていないため、あくまで印象という前置きがあってのことだが、装着して気になった点もT氏に述べてもらった。ショックアブソーバーのオイルが温まるまでに時間がかかるので、それまでは動きが渋く感じることがあったそうだ。45分の耐久レースでは、前半と後半で硬さが変わった印象を受けたと話してくれた。
▲ヴァルタンショックアブソーバータイプRからプレミアムRへ変更し、ジャパンミニデイ in 筑波の耐久レースに参戦。装着やセッティングの変更はブリティッシュガレージREVが行った。
▲サーキット専用に仕立てられたミニ1000は、コイルスプリング&12インチタイヤという組み合わせ。これにヴァルタンのプレミアムタイプRを装着したところ、細かいセッティングが容易に行えることがメリットとなり、結果として装着前よりも優れた操縦安定性を得ることができ、タイムアップを果たすことに成功した。
続いては’92年登録のキャブ・クーパーに乗るS氏のインプレッション。これまでにスパックスダンパーやビルシュタインダンパーとコイルスプリング、エイボンのラバコン+スパックスダンパーなど、様々な組み合わせを試してきた人物である。普段はハイヤードライバーであるため、乗り味や操縦安定性など非常にシビアな意見を持っているが、プレミアムタイプR+エイボンのラバコンという仕様に大満足だという。
通勤で前後ともに4番の減衰力で走行している印象は、しなやかさがありつつも、ミニらしいクィックさはそのままというもの。車線変更時なども安定しており、スムーズな運転が可能になったそうだ。また、しなやかさが増したためか、車内の騒音が減り静かになった印象も受けているとのこと。そして助手席のインプレッションは、余計な上下動がすぐに収束してくれるので、乗り心地が良い。
▲’92年登録のキャブ・クーパーは現在8万kmを走破。オーナーのハイヤードライバーであるS氏は、乗り心地や乗り味、さらに操縦安定性などに強いこだわりを持っている。
▲ヴァルタンのプレミアムタイプRに対して非常に良いという印象を持ったとのこと。すべて公道でのインプレッションであり、硬い、ハネるといった印象はまったく受けなかったそうだ。
■クラシックミニマガジンvol.41(2017年1月)に掲載された情報に、加筆訂正して転載しています。